作業工程

🌿 雑草対策

雑草を根絶するのではなく、「種子を作らせない」「牧草の密度で負けない」ことが現実的な目標です。

80%以上
イネ科牧草の目標割合
20%以下
クローバーの目安上限
3日
除草剤散布後の放牧再開目安

基本サイクル

雑草対策は一度で終わるものではなく、「放牧地の状態を年間通じてチェック→必要に応じて除草剤散布→追播(オーバーシード)→施肥」というサイクルを繰り返すのが基本的な考え方です。雑草の多い場所には除草剤を使用し、全面的な更新が必要な場合はグリホサート系(ラウンドアップなど)を使う一方、通常の維持管理では選択制除草剤(ハーモニーなど)で対応します。

アザミ対策の例

アザミは掃除刈りをしても株が残りやすい雑草です。有効な除草剤の多くは使用した年に放牧利用できなくなる、または更新時にしか使えないといった制約があるため、まず掃除刈りで種子生産を止め、残った個体は抜き取り、裸地を作らないように跡地へ牧草を播くという地道な管理を続けるのが現実的です。

イヌタデ対策

イヌタデはタデ科の一年草で、湿気の多い場所を好んで生えてきます。木戸口周辺や水はけの悪い区画、水桶のまわりなど、水が溜まりやすい場所に多く見られる場合は、イヌタデが「その場所が過湿である」というサインを教えてくれていると考えることもできます。

イヌタデには掃除刈りが効きやすい

アカザ(シロザ)、ヒユ、タデ(イヌタデを含む)、ツユクサなどの雑草は、シバムギやヒエ、ハコベ、ギシギシと違って掃除刈りが効果的な部類の雑草とされています。牧草が雑草より高く伸びれば日陰にして負かすことができるため、春から夏にかけてまめに掃除刈りを行い、牧草の草丈を20cm前後に保つことが基本の対策になります。刈り遅れて雑草に種子を作らせないよう、早め早めに動きましょう。

  1. 早めの掃除刈りを繰り返す。 イヌタデが牧草より高く伸びる前に、こまめに刈り取ります。
  2. 水はけを改善する。 イヌタデは過湿な場所を好むため、エアレーションや排水対策で土壌の水はけを良くすることが、発生そのものを減らすことにつながります。詳しくはエアレーション・追播のページへ。
  3. 牧草の密度を保つ。 ケンタッキーブルーグラスなど踏圧に強く密度高く生える草種を維持し、雑草が入り込む隙(裸地)を作らないようにします。

雑草が増える背景を見極める

雑草の種類から、放牧地の状態が読み取れることもあります。例えば、ブルーグラスが少なくクローバーが多い放牧地は肥料不足のサインと考えられ、逆に窒素が多くなるともっと雑草が増えるという指摘もあります。涼しい場所を好む雑草、馬に踏まれることで増える雑草(ナットなど)、湿気のある場所を好む雑草(イヌタデなど)など、生えている雑草の種類から土壌や管理状態のヒントを読み取ることができます。

放牧地の雑草は、輸入穀物に混じった種子が堆肥を通じて土に持ち込まれ、更新などで土が起こされた際に発芽する、というルートで侵入することが多いとされています。また、雑草率が3割を超えるような放牧地では、施肥をしても牧草の増収効果が期待しにくくなるため、日頃から雑草の割合を低く保つ管理が重要です。

クローバーの管理目標としては、クローバーを全体の20%以下に抑え、残り80%以上をケンタッキーブルーグラスなどのイネ科牧草にすることが一つの目安として示されています。クローバーが多い場所には馬が好んで集まる傾向があり、「馬にチョコレートを与えるようなもの」とも表現されます。

芝生用の種子は絶対に播種しない

芝生用として販売されている草の種子には、病害虫への耐性を高めるために「エンドファイト」という共生菌に高い率で感染した品種が多く使われています。エンドファイトはトールフェスクやペレニアルライグラスに感染し、アルカロイドを産生します。牛や羊で知られる中毒症状(フェスクトキシコーシス、フェスクフット、ファットネクローシスなど)には、体重減少、繁殖障害、蹄の壊死、流産、蹄葉炎などが含まれます。芝生用の種子を誤って放牧地に播種しないよう、種子の用途は必ず確認しましょう。

除草剤散布と放牧再開の目安

除草剤を散布した直後の放牧については、ケンタッキーの牧場では当日から入牧させている例もありますが、より安全を見るなら数日(目安3日程度)は放牧を空けると安心です。使用する除草剤ごとの使用上の注意・残効期間は必ずラベルを確認してください。

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