放牧地管理の中で最も基本的で、最も効果が分かりやすい作業です。刈り高ひとつで雑草の量が変わります。
掃除刈りの目的は、伸びすぎた牧草や雑草の頭を刈り取って草地を整えることですが、重要なのは「刈り高」です。実際の巡回指導では、刈り高が15cmだった牧場に対して「20cmにした方がいい」という指摘がされています。ある牧場では、掃除刈りを20cm以上の高刈りに変えただけで雑草が減ったという報告もあります。
低く刈りすぎると牧草の生長点まで傷つけてしまい、株が弱ってそこに雑草が入り込みます。逆に高めに刈ることで、牧草の分けつ(株分かれ)を促しながら雑草の勢いだけを抑えることができます。
基本は高刈りですが、5月の最初の掃除刈りに限っては、短く刈っても大丈夫です。むしろ、5月に一度短く刈り取ることで、雑草を減らす効果が期待できます。
春になると、牧草も雑草も競争するように一斉に伸びてきます。このタイミングで一度短く刈り取ると、イネ科牧草の伸長力(再生する勢い)が雑草の勢いに勝るため、雑草の方が弱ってしまい、結果的に雑草が減っていきます。
2回目以降の掃除刈りは、通常通り高刈り(20cm以上)に戻します。短く刈るのはあくまで5月最初の1回限りの特例と考えてください。
巡回指導では、牧柵周辺の草を確認しながら「オーチャードグラスは良いが、リードカナリーグラスは嗜好性が悪いので草地に入らないように注意」といった具体的な指摘や、ヘラオオバコとオオバコの違いなど、雑草の見分け方も指導されています。日頃から放牧地を歩き、どんな草が生えているかを観察する習慣が、掃除刈りのタイミングを見極める力につながります。