作業工程

掃除刈り(高刈り)

放牧地管理の中で最も基本的で、最も効果が分かりやすい作業です。刈り高ひとつで雑草の量が変わります。

20cm〜
刈り高の目安
7〜8月
夏の実施時期
開花前
雑草を刈るタイミング

なぜ「高刈り」なのか

掃除刈りの目的は、伸びすぎた牧草や雑草の頭を刈り取って草地を整えることですが、重要なのは「刈り高」です。実際の巡回指導では、刈り高が15cmだった牧場に対して「20cmにした方がいい」という指摘がされています。ある牧場では、掃除刈りを20cm以上の高刈りに変えただけで雑草が減ったという報告もあります。

低く刈りすぎると牧草の生長点まで傷つけてしまい、株が弱ってそこに雑草が入り込みます。逆に高めに刈ることで、牧草の分けつ(株分かれ)を促しながら雑草の勢いだけを抑えることができます。

例外:5月の最初の1回だけは短く刈ってもよい

基本は高刈りですが、5月の最初の掃除刈りに限っては、短く刈っても大丈夫です。むしろ、5月に一度短く刈り取ることで、雑草を減らす効果が期待できます。

春になると、牧草も雑草も競争するように一斉に伸びてきます。このタイミングで一度短く刈り取ると、イネ科牧草の伸長力(再生する勢い)が雑草の勢いに勝るため、雑草の方が弱ってしまい、結果的に雑草が減っていきます。

2つの前提条件

  • 地力(土壌中の栄養)が十分にあること。 牧草の再生力は土壌の栄養状態に左右されるため、この方法は地力のある放牧地が前提です。
  • 春先に土壌が乾燥している年は、短く刈らないでください。 雨不足で放牧地の土壌が乾いている年に短く刈ると、草地のクッション性が失われ、子馬の骨端炎やクラブフットの原因になりかねません。乾燥が気になる年は、通常通り高刈りにとどめましょう。

2回目以降の掃除刈りは、通常通り高刈り(20cm以上)に戻します。短く刈るのはあくまで5月最初の1回限りの特例と考えてください。

進め方

  1. タイミングを見極める。 雑草が種子をつける前に刈るのが鉄則です。特にアザミなどは、掃除刈りをしておけば少なくとも今後その株からの種子生産は防げます。天候不順で刈り取りが遅れると、草が伸びすぎて刈り取り後の作業量も増えるため、早め早めの見回りを心がけます。
  2. 刈り高20cm以上を目安に刈る。 刈り残しが多いと下草が蒸れる原因になるため、均一に刈るよう注意します。
  3. 刃の切れ味を確認する。 切断面がシャープであることも重要なチェックポイントです。切り口がぼろぼろになっている場合は、牧草がそこから傷みやすくなるため、機械(刈刃)の点検・研磨を行いましょう。
  4. 刈り取った草の扱い。 そのまま放牧地に残しても大きな問題はありませんが、乾草として利用する場合や、種子が出来てしまった雑草を刈った場合は、圃場からの持ち出しを検討します。

注意点

  • 刈り遅れると雑草の種子が飛散し、翌年以降の雑草がかえって増えてしまいます。
  • 刈り残しが多いまま夏を迎えると、下草が蒸れて病気の原因になることがあります。
  • 牧柵周辺の草は放牧圧が低く伸びやすいため、見落としがちです。定期的にチェックしましょう。

牧柵周辺の雑草を見分ける

巡回指導では、牧柵周辺の草を確認しながら「オーチャードグラスは良いが、リードカナリーグラスは嗜好性が悪いので草地に入らないように注意」といった具体的な指摘や、ヘラオオバコとオオバコの違いなど、雑草の見分け方も指導されています。日頃から放牧地を歩き、どんな草が生えているかを観察する習慣が、掃除刈りのタイミングを見極める力につながります。

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