作業工程

エアレーション・追播(不耕起更新)

「完全更新はしない」が世界共通の結論。土壌をほぐし、種を足しながら維持管理するのが基本です。

8月中旬
追播の目安時期
KB 15kg/ha
+OG 15kg/ha
追播の組み合わせ例
PR 10〜20kg/ha
木戸口など踏圧の強い場所

なぜ「完全更新しない」のか

雑草が増えてくると、いっそ全部耕して播き直したい(完全更新)という気持ちになりますが、これは多くの場合おすすめできません。完全更新した放牧地は、本来1年半〜2年ほど休ませる必要がありますが、そこまで余裕のある牧場はほとんどありません。更新した翌年に放牧してしまうと、草の密度が低いために蹄を傷めやすく、あっという間に草がなくなって雑草が侵入し、更新前よりかえって悪化してしまう——という例が数多く報告されています。また、休ませている間は残りの放牧地への負荷が倍増し、そちらも傷んでしまいます。

そこで推奨されるのが不耕起更新=追播(オーバーシード)です。耕さずに種をまき足すことで、休ませる期間が短くても、あるいは休ませられなくても、それなりに草の密度を回復させることができます。アメリカ・ケンタッキーでも、よほどの状況でない限り完全更新はせず、追播が主体だとされています。

進め方

  1. 掃除刈り。 まず雑草の頭を刈り取り、光を地表まで届きやすくします。
  2. エアレーション(穴あけ・ハローがけ)。 土壌の硬結をほぐし、種子が土に接触しやすい状態を作ります。ブレード式のエアレーターが有効という評価があります。踏圧で凹凸ができた場所の修復にも使われます。
  3. 追播。 全体には牧草の主力となる草種(例:ケンタッキーブルーグラス15kg/ha+オーチャードグラス15kg/ha)、木戸口など踏圧が特に強く裸地になりやすい場所には、発芽・生育が早いペレニアルライグラス(10〜20kg/ha)を優先して播きます。裸地の多い区画では、発芽の早いペレニアルライグラス系の草種を選ぶと立ち上がりが早くなります。
  4. 鎮圧(ローラーがけ)。 播いた種と土をしっかり密着させ、発芽率を高めます。
  5. 可能であれば少し休ませる。 追播後、発芽までの期間だけでも放牧を控えると出芽率が大きく上がります。休ませられない場合でも、やらないよりはましな効果が期待できます。

なぜ8月なのか

実際の巡回指導では、入り口付近の裸地がひどい牧区に対して「生育の早いペレニアルライグラス(PR)がよい」「8月中旬までがベスト」という具体的なアドバイスが記録されています。日高地方の牧場の年間作業例でも、8月中旬に掃除刈り・ハローがけ・追播・ローラーをセットで行っている実例があります。夏の高温期を過ぎ、秋の生育シーズンに向けて発芽・定着させるタイミングとして理にかなっています。

土壌の物理性を改善するには

表土が硬く締まっている放牧地では、エアレーター→堆肥散布→pH調整、という組み合わせが基本的な改善策です。土を入れ替える「客土」は、火山灰の粘土質をかえって表面に持ち込むことになり、物理性を悪化させてしまうことが多いため、あまりおすすめできません。土壌が乾燥してスポンジ状になっている場合も、土を動かすより堆肥を入れて土を豊かにする方が効果的です。

注意点

  • 完全更新は、更新後の休牧期間を確保できる牧場でなければ、かえって放牧地を悪化させるリスクがあります。
  • 石が多い区画ではエアレーターの使用に注意し、様子を見ながら進めましょう。
  • 追播後はできるだけ発芽までの期間、放牧圧を下げる工夫をしましょう。

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